スケート靴ってそんなに違うの⁉ 冬のオリンピックの4競技・種目で比べてみた

雪と氷のスポーツの国際大会、冬のオリンピック。2026年2月6日~22日、第25回大会がイタリアのミラノとコルティナ・ダンペッツォの2つの都市を舞台に開かれます。選手たちの迫力と華やかさのあるパフォーマンスは見どころだらけですが、ここでは少し視点を変えて、道具に着目。氷の上を滑るためのスケート靴について、スピードスケート、ショートトラック、フィギュアスケート、アイスホッケーの4つの競技・種目では、どんな違いがあるか知っていますか。テレビ中継などを見るだけでは分からない、それぞれの特徴を紹介します。
4年に1度の冬の祭典、8競技116種目を実施
冬のオリンピックは、4年に1度開かれる、雪と氷の上をステージにしたスポーツの祭典です。ミラノ・コルティナ大会では、スキー、スケート、アイスホッケー、ボブスレー、リュージュ、カーリング、バイアスロン、スキーマウンテニアリングの8競技116種目が実施されます。世界90を超える国・地域から2900人ほどの選手が参加予定で、日本からもおよそ120選手が出場します。
スキーマウンテニアリング(SkiMountaineering)は、スキーモ(SKIMO)とも呼ばれ、今大会から行われる新競技です。スキーで坂を登ったり下ったり、場所によってはスキーを取り外してブーツで走ったりして、雪山を駆け抜けます。別々に競技してタイムで争うのではなく、複数の選手が同時にスタートしてゴールする順位を争います。残念ながら日本選手の出場はありませんが、壮大なコースで繰り広げられるスピード感のある競り合いに注目です。
スケート靴のここに注目
それでは氷の上で行われる競技・種目で使われる、スケート靴について見ていきます。スケート靴の違いのポイントは、次のようなものがあります。
・靴(足を入れる部分)の形
・靴の素材
・ブレード(氷に接する金属部分)の長さ
・ブレードの厚さ
・ブレードの反り具合
・ブレードの溝の有無
・ブレードの取り付け位置
・その他の特徴
これらに注目しながら比べてみましょう。
スピードスケート:長いブレードで速くすべる


スピードスケートの一番の特徴は、ブレードが靴よりもかなり長いこと。これは、氷に接している時間、つまり氷に力を伝える時間を長くして、とにかく速くすべることを目的にしています。レース中は時速60kmほどという自動車並みの速さに達します。
1998年の長野オリンピックあたりから広まった、かかと側で靴とブレードが離れるスラップスケートは、足を上げるギリギリまでブレードと氷が接しているので、それまでのスケート靴よりも速くすべれるようになりました。
ブレードの厚さは、ほかの3つと比べて、もっとも薄い1㎜ほどで、よりなめらかにすべることができます。
ブレードは一見すると真っすぐなようですが、わずかに下に膨らんで弧を描いて反っています。この反り具合は、選手の滑り方にあわせて調整されます。
・靴の形=くるぶしあたりまで
・靴の素材=カーボン製
・ブレードの溝=なし
・ブレードの取り付け位置=上から見て左足は真ん中、右足は真ん中より左
スピードスケートは、1周400mのリンクで、種目ごとに定められた距離をどれだけ速いタイムですべれるかを競う競技。コースは2レーンあり、途中で内側と外側を入れ替わるのも特徴。
ショートトラック:左寄りのブレードでコーナーが速い

ショートトラックの一番の特徴は、ブレードが、上から見て靴の中央よりもかなり左寄りに付けられていること。これは体と足を大きく傾けながら、左回りの急なコーナーを速くすべるためです。
スピードスケートのコースが1周400mに対し、ショートトラックのコースは1周111.12m。その分、コーナーの曲がり具合が急ですが、ブレードが靴の左寄りについていると、左手を氷につくほど体を傾けられて鋭く曲がることができます。
また、ブレードの高さが、スピードスケートよりもあります。氷の面と靴までの間が大きくなり、これも傾いてすべるための工夫です。
ブレードは真っすぐに見えますが、スピードスケートと同じく、少しだけ下に膨らんで弧を描いて反っています。コーナーの曲がり具合が、スピードスケートよりショートトラックの方が急なので、反り具合も少しだけ急になっています。
また、複数の選手が密集してすべるため、スラップスケートは危ないので使えません。
・靴の形=足首の上まで
・靴の素材=カーボン製
・ブレードの厚さ=薄め1.1㎜
・ブレードの溝=なし

ショートトラックは、1周111.12mのコースで、種目ごとに定められた距離を複数で同時にすべって、最初にゴールすることを目指す競技。レーンは分かれておらず密集してすべるので、接触や転倒が多く、選手は頭や首を守る防具をつけるルールです。
フィギュアスケート:ブレードのトゲトゲと溝を使ってジャンプ、ステップ

フィギュアスケートの一番の特徴は、ブレードのつま先側がトゲトゲしていること。これはトウピックと呼ばれ、リンクに突き刺すようにしてジャンプするときの踏切りなどに使います。
ブレードの厚さは3.5mmほどで、ほかの3つよりも厚く、すべりは悪くなりますが、ジャンプの着地などが安定して転びにくいです。
ブレードには半円形に溝が削ってあります。そのとがった両端を使うことで、ステップやターンなど、いろいろな動きがしやすくなります。また競技の中では、溝の内側と外側のどちらの端を使うかで、ジャンプやステップの種類が区別されています。
靴は革製でブーツのように長く、足全体を使った安定したすべりができるほか、足首をひねりにくく安全です。
安定感があっていろいろな動きに対応できるので、みんながスケート場に遊びにいくときに借りられるスケート靴は、フィギュア用であることが多いです。
・ブレードの長さ=かかと側は靴より少し長い
・ブレードの反り具合=スピードスケートより反っている
・ブレードの取り付け位置=靴の真ん中

フィギュアは、リンクの上で音楽に合わせてジャンプやスピンなどの技を入れながら演技する競技。演技は審査員が採点して、その得点によって順位が決まります。
アイスホッケー:反った短いブレードで小回りがきき、後ろにも速い

アイスホッケーの一番の特徴は、ブレードが、靴と同じくらいに短く、その両端は大きく反って丸っぽくなっていること。これは、直進だけでなく、後ろ向きに進んだり、左右に方向転換したりと小回りしやすいためです。一瞬でダッシュするときのスピードは、スピードスケートよりも速いです。
ブレードは厚めの3㎜ほどで、フィギュアと同じく溝が削ってあります。溝のとがった両端を氷に突き刺すようにすることで急な停止や方向転換ができます。
また、パックやスティックが当たったり、選手同士や壁との激しい接触があったりするので、靴は軽くて丈夫なカーボン製が多く、すね部分や、ふくらはぎ部分を守るパーツがあります。ブレードも、衝撃から守り、壊れたときに付け替えられるようにホルダーというパーツについています。
・ブレードの取り付け位置=靴の真ん中
アイスホッケーは、「氷上の格闘技」とも呼ばれ、ゴールキーパーを含めて6対6で行うチーム競技。直径8cmほどのパックをスティックで打って、パスしたりシュートしたりして、相手ゴールに多くの得点を決めた方が勝利します。リンクを囲っている壁を使ってパスしたり、ゴールの裏側のスペースを使ったりしてよいのも特徴的です。
㎜以下の単位の細かな調整が支えるパフォーマンス
ここまで紹介したスケート靴の特徴は、あくまで基本の話です。実際の選手たちは、すべてを自分用に調整しています。例えば、スピードスケートの靴は足型を取って作った自分にぴったりのものを使ったり、フィギュアはジャンプが得意かステップが得意かで違ったり、アイスホッケーはポジションなどプレースタイルでも変わったりします。ブレードの長さや反り具合、取り付け位置などを、㎜単位またはそれよりも小さな単位で調整することで、たくさんの人の感動を呼ぶようなパフォーマンスにつなげています。
取材協力/㈱エスク・SSS事業部、小杉スケート









