人工多能性幹細胞,または誘導多能性幹細胞とよばれるもの。皮膚などから取り出した細胞に遺伝子を組みこんで作られた,体じゅうの各種臓器や組織に成長することのできる細胞。同じ機能をもつES細胞(胚性幹細胞)とあわせて万能細胞ともよばれる。2006(平成18)年,京都大学の山中伸弥教授らがマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作りだすことにまず成功,翌2007年11月にはヒトの皮膚細胞から作ることに成功した。iPS細胞を移植することで,組織の壊れた臓器や傷ついた脊椎や骨を再生させることが可能で,患者の細胞を使って作られたものなら拒絶反応の心配もないため,再生医療の切り札として大きな期待がよせられている。◇さきに開発されたES細胞はヒトの受精卵を壊して作るため,生命の倫理のうえで問題とする声もある。