聖徳太子の時代(7世紀初めごろ)を中心にさかえた,日本で最初の仏教文化。
日本最初の仏教文化
太子は,大陸からつたわった仏教を深く信仰し奨励したので,日本で最初の仏教文化が生まれたが,当時,都が飛鳥地方(奈良盆地の南部)にあったので,飛鳥文化とよばれる。飛鳥文化には南北朝時代の中国や,朝鮮半島の百済の文化が強く影響しているが,間接的にはギリシャ・西アジア・インドなどの文化の影響も見られ,国際性のあふれた文化であった。しかし,朝廷や一部の豪族などかぎられた人々のものであった。
文化の内容
(1)建築…これまでの古墳にかわって,法隆寺や四天王寺・中宮寺など,寺院がたてられた。聖徳太子がたてた法隆寺の中門や金堂は,現存する世界最古の木造建築で,柱のふくらみ(エンタシス)にはギリシャ建築の影響が見られる。
(2)彫刻…法隆寺の釈迦三尊像(鞍作鳥の作)や百済観音像,広隆寺や中宮寺の半跏思惟像などが知られる。
(3)工芸品…法隆寺の玉虫厨子が有名であり,中宮寺の天寿国繍帳は当時の刺しゅうや絵画のだいじな遺産である。
コーチ
飛鳥文化の国際性は柱のエンタシスのほか,西方からつたわった唐草模様などからもうかがえる。