本来は天から神などが地上に降りる意味だが,現在では官公庁の公務員が退職した後,関係の深い特殊法人,団体,企業に再就職することをいう。さらに,別の団体などに再就職をくりかえすことを「わたり」とよんでいる。とくに中央省庁の,いわゆるキャリア組の公務員(高級官僚)は,60歳の定年を待たずに50歳前後で退職する慣例があり,その後は「天下り」によって再就職する場合が多い。官公庁の退職金をもらい,ふたたび数年で高額の退職金を得ることをくりかえしたり,省庁との関連で団体・企業に便宜をはかるなどの癒着の問題も指摘されている。2008(平成20)年に各省庁からの天下りあっせんを禁止して,再就職を一括管理しようとする官民人材交流センターが設置されたが,その後天下りそのものを禁止するため,2010年3月に同センターは廃止,代わって「民間人材登用・再就職適正化センター」が設置された。