北アメリカ州にある,北アメリカ大陸の中央部をしめる本土とアラスカ,ハワイ諸島などを領土とする国。50州からなる連邦国家。政治体制は共和制で,元首は大統領。首都:ワシントンD.C.,面積:983.4万km2(2015年),人口3億2446万(2017年),言語:英語,スペイン語など,宗教:信教の自由を憲法で保障、キリスト教、ユダヤ教など,民族:ヨーロッパ系(白人),ヒスパニック,アフリカ系(黒人),アジア系,先住民など。
自然のようす
面積が日本の約26倍ある広大な国土で,東部に高原状のアパラチア山脈,西部に高くて険しいロッキー山脈が連なる。中央部には,西からグレートプレーンズとよばれる大平原,プレーリーとよばれる大草原,ミシシッピ川流域の中央平原が広がる。アラスカには北アメリカ大陸の最高峰デナリ山(標高6194m)がそびえる。広大な国土をもつため,熱帯から寒帯まで多様な気候が広がり,東部は温帯,南東部のフロリダ半島の一部は熱帯,西部は沿岸部をのぞいた大部分が乾燥帯,南西部は温帯,北西部は冷帯に属する。アラスカは冷帯と寒帯が広がり,寒さがきびしい。
あゆみ
古くからアジア系のネイティブアメリカンとよばれる先住民が住んでいたが,1492年にコロンブスが西インド諸島に上陸して以来,ヨーロッパ人の進出が進み,17世紀〜18世紀前半にはイギリスが東部に13植民地をつくった。やがてイギリス13植民地が本国に対して1775年に独立戦争をおこし,1776年には独立宣言を出した。その結果,1783年に独立を達成し,アメリカ合衆国を建国した。以降,西部への進出を進め,カリフォルニアのゴールド=ラッシュで西部開拓は急速に進み,19世紀半ばには太平洋岸に達した。1861年に奴隷制をめぐる対立から南北戦争がおこったが,1865年にリンカン(リンカーン)大統領の指導する北部が勝利し,統一した。以降,工業化が進み,第一次世界大戦ごろから,アメリカは政治的・経済的に地位を高め,世界の指導国となった。第二次世界大戦後の冷戦時には資本主義陣営の中心国となり,ソ連と対立した。冷戦終結後はソ連の崩壊によってますます指導力を強め,現在は政治・経済・軍事などの面で,世界を動かすほどの影響力をもつ超大国となっている。
農業のようす
自然条件にあった作物を栽培する適地適作と企業的農業に特色がある。企業的農業では,大型機械を使って大農場で同じ作物を栽培するため,少ない人手で大量生産ができ,安い農作物をつくることができる。小麦・ダイズ・トウモロコシ・綿花・牛肉などの生産量は世界有数で,世界各地への輸出も多く,「世界の食料庫」の役割を果たしている。
工業のようす
石油・石炭・鉄鉱石など,鉱産資源は種類・生産量とも世界有数で,工業発展の基礎となってきた。20世紀初頭に自動車などの大量生産に成功し,1960年代までは工業の分野でトップをしめていた。その後,日本や旧西ドイツの工業の発達によりアメリカの地位は低下した。しかし,スペースシャトルの打ち上げに見られる高い技術があり,航空機や宇宙産業・コンピュータ関連産業などの先端技術産業では今も世界をリードし,世界の国々で活動する巨大な多国籍企業も多い。工業の中心地はかつては五大湖周辺だったが,現在は北緯37度以南のサンベルトとよばれる地域にうつっている。
人種・民族のようす
世界各地から移民を受け入れてきたため,ヨーロッパ系(白人)・ヒスパニック(中南米系の人々)・アフリカ系(黒人)・アジア系・先住民のネイティブアメリカンなどからなる多民族国家となっている。教育や就職などの面での人種・民族間の格差があり,特にアフリカ系やヒスパニックの失業や貧困が問題となっている。
日本との関係
アメリカと日本は,第二次世界大戦では戦火をまじえたが,戦後は結びつきを強め,1951(昭和26)年には日米安全保障条約を結んだ。現在は政治・経済・文化など,さまざまな分野での結びつきが強いが,貿易では日本の輸出超過が続き,しばしば貿易摩擦に発展している。
日本との貿易
アメリカから日本への輸出:電気機器,一般機械など。
アメリカの日本からの輸入:乗用車,一般機械,電気機器など。(2015年)
国名の由来
この地が,ヨーロッパ人が到達していない未知の大陸であることを確かめ,公表したイタリアの探検家,アメリゴ=ベスプッチの名前より。
国旗の由来
植民地から独立した当時の13州を赤7本,白6本の横条で,現在の州の数を50星で表している。