2010年の12月から2011年の春にかけて,北アフリカや中東のアラブ諸国で巻き起こった民主化運動の大きな流れをたとえていう言葉。北アフリカ・中東のイスラム諸国では国王や強力な指導者・大統領による政治が行われてきた。いずれの国も政治的には安定していたが,長期政権による政治的な腐敗,人権の抑圧,富の集中による貧富の格差の拡大などによって民衆の不満が蓄積していた。2010年12月,チュニジアで失業中の若者の抗議の自殺をきっかけに民衆の不満が爆発,大きな抗議デモ,民主化運動に発展し,23年にわたり政権を維持してきたベン=アリー大統領を亡命に追いこんだ(ジャスミン革命)。この流れは同じような政治状況をかかえる周辺のアラブ諸国につぎつぎと飛び火し,2011年2月にエジプトのムバラク大統領の退陣,ヨルダンのリファーイ内閣総辞職,そしてリビアのカダフィ政権の崩壊と,民衆による運動が政権を打倒した。時期を同じくして,アルジェリア,イエメン,サウジアラビア,オマーン,バーレーン,シリア,クウェート各国でも民衆の抗議活動が展開され,政権による妥協案が示された国,いまだに強行に民衆の抑圧を続けている国などもあり,政治的に不安定な状態におちいっている。⇒ジャスミン革命,ムバラク,カダフィ