(1946〜2013)昭和・平成時代の歌舞伎俳優。東京都生まれ。11世市川団十郎の長男。1953(昭和28)年に初舞台をふむ。65年,十分な教えをうけないまま父11世が急死,自力で芸をみがきながら市川団十郎家をになうことになる。69年,10世市川海老蔵襲名,85年,市川団十郎襲名。市川宗家のお家芸歌舞伎十八番をはじめ荒事,世話物などで多彩な役を演じ分けた。当たり役は「勧進帳」の弁慶,「助六由縁江戸桜」の花川戸助六など。2004(平成16)年,白血病を発症,療養・手術などをくりかえしながら舞台に立ちつづけていたが,2013年2月,肺炎のため没。本来,不器用で発声にも難があることは指摘されていたが,骨太でがらの大きい重厚な演技への評価は高く,これからの歌舞伎界の柱として円熟が期待されていた。長男は11世市川海老蔵。⇒市川団十郎家