親のもっている形質(形や性質)が,子につたえられていくこと。メンデル(オーストリア)のエンドウを使った実験により,形質が子孫につたえられる場合のいくつかの法則が見出された(1865年,メンデルの法則)。メンデルは遺伝子(因子)の存在を仮定したが,モーガン(アメリカ合衆国)によってそれが染色体上に線状に配列されていることが明らかにされ,現在では遺伝子を構成している物質はDNA(デオキシリボ核酸)であることもわかっている。
受精と遺伝子
ふつうの細胞には,染色体が対になってあるが,卵や精子ができるとき,減数分裂といって染色体数が半分になる。受精は卵と精子が合体することで,これによって染色体数はもとにもどる。このとき,染色体にふくまれている両親の遺伝子は,染色体とともに子につたわっていく。
遺伝の規則性
たがいに純系で形質のちがう親どうしをかけあわせてできた子(F1)は,親の一方の形質だけが表れる。これを優性の法則という。また,このとき子に表れる形質を優性,表れない形質を劣性という。F1(子)どうしをかけあわせたF2(孫)には,優性の形質と劣性の形質が,3:1の割合で表れる。これはF1の卵や精子ができるとき,それぞれの卵や精子に,優性の遺伝子と劣性の遺伝子が分かれて入るからで,このことを分離の法則という。
コーチ
メンデルの遺伝法則には,このほかに独立の法則がある。