アジア州の南アジアにある,インド半島の大部分をしめる国。政治体制は共和制で元首は大統領だが,実質的な行政は首相が行う。首都:デリー,面積:328.7万km2(2015年),人口:13億3918万(2017年),言語:ヒンディー語(連邦公用語),英語(準公用語)など,宗教:ヒンドゥー教,イスラム教など,民族:インド=アーリア系,ドラヴィダ系。
自然のようす
国土はヒマラヤ山脈が走る北部山地,ガンジス川流域のヒンドスタン平野,半島部のデカン高原の3つに大きく分かれる。インド洋,ベンガル湾に面する。夏のモンスーン(季節風)をまともに受けるヒマラヤ山脈南斜面やインド半島西岸は降水量が多く,なかでも北東端のアッサム地方は世界の最多雨地域の1つ。南東から北西へかけて降水量が少なくなり,サバナ気候,ステップ気候とかわり,インダス川流域は砂漠気候となる。
あゆみ
インダス文明の発祥地で,紀元前1500年ごろからアーリア人が侵入し,やがて仏教やヒンドゥー教がおこった。その後クシャーナ朝・グプタ朝などを経て,16世紀にはムガル帝国が成立。1600年にイギリスが東インド会社を設立し,1857〜1859年のインドの大反乱後にインドを直接支配した。第一次世界大戦後,ガンディーのもとで独立運動が拡大し,1947(昭和22)年にヒンドゥー教徒の多い地域を領土として,イスラム教徒の多いパキスタンと分離独立した。
産業のようす
米・小麦・茶・綿花などが主要農産物。ガンジス川下流域では米,中流域からパンジャブ地方では小麦,アッサム地方では茶,デカン高原では綿花の栽培がさかん。「緑の革命」やかんがい施設の整備などの農業改革を実施し,1980年代には食料自給がほぼ可能になった。石炭・鉄鉱石・マンガン・亜鉛鉱など鉱産資源が豊富で,鉄鉱石は重要な輸出品。北東部のビハール州は,石炭・鉄鉱石・電力にめぐまれ,ジャムシェドプルを中心に重化学工業地域を形成している。東部のコルカタ(カルカッタ),西部のムンバイ(ボンベイ),南部のチェンナイ(マドラス)を中心とする地域では,繊維・化学など各種の工業が行われている。1990年代から安い人件費と優秀な人材に支えられたICT(情報通信技術)産業が発展し,高い経済成長が続き,BRICsの一国に数えられている。
社会問題
人口が爆発的に増加しており,人口を抑えるために家族計画をすすめているが効果があがらず,失業・住宅難など,さまざまな社会問題の原因になっている。現在,法律では廃止されているが,カースト制による身分差別が根強く残り,近代化の障害になっている。
日本との貿易
インドから日本への輸出:揮発油,有機化合物,魚介類など。
インドの日本からの輸入:一般機械,鉄鋼,電気機器など。(2015年)
国名の由来
インダス川流域に移住したアーリア人が,この地域をシンドとよんだため。
国旗の由来
サフラン色は勇気と犠牲,白は真理と平和,緑は公正と騎士道,中央にチャクラ(仏教のシンボル法の輪)を青で入れる。