うきぐも【浮雲】 二葉亭四迷(ふたばていしめい)の未完(みかん)の小説(しょうせつ)。1887(明治(めいじ)20)〜1889年発表。学問もでき,新しい思想の持ち主だが,融通(ゆうずう)のきかない性格(せいかく)の青年内海文三(うつみぶんぞう)が,失業(しつぎょう)して人生にも恋(こい)にもやぶれていく姿(すがた)をえがいて,当時の社会や文明を裏側(うらがわ)からえがこうとした。コーチ わが国ではじめて話し言葉(口語)を用いて,言文一致(げんぶんいっち)の文体で書かれたこの作品は,現実(げんじつ)を客観的(きゃっかんてき)にえがこうとする最初(さいしょ)の本格的(ほんかくてき)リアリズム小説(しょうせつ)として文学史(ぶんがくし)の上で重要(じゅうよう)な位置(いち)をしめている。