毎年正月(1月10日前後),皇居正殿松の間で,天皇・皇后・皇族臨席のもと,天皇御製,皇后・成年皇族の御歌,召歌,撰者歌,一般から詠進の10首ほどの和歌が披露される行事。古くは禁裏和歌御会始とよばれ,15世紀後半に式次第などが整えられ,正月行事として定着した。現在の歌会始は1869(明治2)年から始められ,1874年からは一般の国民の詠進も許されるようになった。戦前までは一般の詠進歌の選歌は宮内省御歌所の寄人が行ったが,戦後,御歌所廃止の後は,民間歌人から選ばれた撰者がこれにあたっている。読師の披講,講師の朗読,発声と講頌の唱和と,古式にのっとったかたちで,独特の節回しで歌が披露される。また,翌年の歌の御題は歌会始当日に公示される。◇歌会始で披露される歌は,近代的な「短歌」ではなく,国の平安を祈り,ことほぐという古来の呪術的な意味合いの残る「和歌」であるといえる。