1994(平成6)年に宇宙開発事業団(NASDA)によって開発され,現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発,製造,打ち上げなどを行っている,日本の人工衛星打ち上げ用ロケットのシリーズ。H-Ⅱは日本独自の技術で開発された最初の大型人工衛星打ち上げ用のロケットで,2段式,液体燃料エンジンを搭載,固体燃料ロケットブースター2基を補助推進用に装着。全長49.9m,質量264t,静止移動軌道に3.8tの物資・衛星を投入する能力をもつ。94年から運用が開始されたが,98年に5号機,99年に8号機の打ち上げに失敗し,開発・運用を終了。H-ⅡAは,H-Ⅱを全面にわたって再設計し,信頼性を高め,打ち上げ費用を低減化したモデルで,2001(平成13)年8月に第1号機が打ち上げられ,現在も運用中。標準タイプで全長52.5m,質量289t,静止移動軌道投入能力約4t。全体の構造としてはH-Ⅱを踏襲している。より推進力を上げ,打ち上げ能力を高めた複数のタイプがある。2009(平成21)年のHTV(国際宇宙ステーション補給機)の打ち上げを目ざしてH-ⅡA増強型の開発が進められてきたが,信頼性の面で開発は凍結され,第1段ロケットを新たに設計しなおしたものが,H-ⅡBである。第1段に液体燃料エンジンを2基搭載,固体燃料ブースターを4基装着。全長56.6m,質量531t,HTV軌道投入能力16.5tと,日本最大の能力をもつ。2009年9月,第1号機の打ち上げに成功。今後は,通常の衛星打ち上げにはH-ⅡA,HTV(こうのとり)の打ち上げにはH-ⅡBが運用されることになる。⇒宇宙開発事業団 ⇒宇宙航空研究開発機構 ⇒人工衛星 ⇒HTV ⇒国際宇宙ステーション