●県名の由来
オオキタとよばれていた土地に大分の字をあてたといわれる。県名は奈良時代に国府や国分寺がおかれて以来,豊後国の中心だった大分郡からとられた。
●県庁所在地 大分市
●県の面積 6340km2
●県の人口 120万人
●県の代表的な伝統工芸品と祭り
〔伝統工芸〕 ○別府竹細工
〔祭り〕 天念寺修正鬼会(豊後高田市,旧暦1月7日)
●位置・地形・気候
大分県は九州地方の北東部に位置する。東は瀬戸内海に面し,豊後水道をはさんで四国にも近い。福岡県との境には英彦山・釈迦岳がそびえ,熊本県との境には,くじゅう火山群,南の宮崎県との境には九州山地の祖母山・傾山がそびえている。北東部には国東半島がつきでている。
大分県は山がちで,平地は,大分川と大野川の下流に広がる大分平野,周防灘に面した中津平野,筑後川上流の日田盆地,大野川上流の竹田盆地などがあるにすぎない。
気候は,一般に温暖だが,こまかく分けると,南部は温暖多雨な太平洋側の気候,北東部は温暖少雨の瀬戸内の気候,内陸部はやや寒冷多雨の気候である。
●歴史
むかしは豊前国,豊後国といった。早くから大陸文化の影響を受けて開けた地域で,奈良・平安時代には,宇佐神宮が九州第一の神社として大きな勢力をふるった。
鎌倉時代から約400年間,大友氏が勢力をはり,北九州にも勢力をのばした。室町時代末期には,明(中国)やポルトガルと貿易を行ってさかえたが,豊臣秀吉にほろぼされた。
江戸時代には,豊後国は11もの小藩に分けられ,明治初期の廃藩置県でそのまま県となったが,のち10県が統一されて大分県ができ,大分市に県庁がおかれた。のこる1県は福岡県に編入された。
●産業
農業は,津久見市や国東半島を中心にミカンの栽培が行われ,久住高原では豊後牛とよばれる肉用牛や乳牛の飼育がさかんである。また,シイタケ・ミョウガ・ネギなど,特定の農産物を航空機で大消費地に輸送する「フライト」野菜の生産もさかんになった。ほかに,大分県の特産物であるカボスは全国の生産量の約94%(2008年),干しシイタケも全国の生産量の約38%をしめ,第1位となっている(2009年)。
水産業では,豊後水道に面した臼杵湾の海洋牧場でのマダイの栽培漁業が有名である。
工業は,鉄鋼・石油化学・IC産業などを中心に大きく発展しており,大分県の工業生産額は,九州では福岡県についで第2位となっている。日田・中津市の木材・家具工業,佐伯市のセメント工業も重要である。
■一村一品運動の発祥地大分県
近年,全国に広まった一村一品運動は,1979(昭和54)年に,平松守彦県知事のよびかけで大分県で始まった。各町や村が何か1つほこれるものや顔となるものをつくり,活気のある町や村づくりをしていこうという運動である。
一村一品は,農産物とはかぎらない。工業製品,観光,祭りやイベント,さらには自然環境もふくまれる。各市町村は,知恵をしぼって特産物づくりやイベントにとりくんだ。
温泉で有名な湯布院町(今の由布市)は観光にとりくんで成功した。運動の発祥の町といわれる大山町(今の日田市)は,新たに1990(平成2)年に,農家の人たちが,毎朝とれた新鮮な農産物に自分で値段をつけ,自分の名前を書いたシールをはって出荷するという,産地直接販売の運動を始め,成功している。
いまでは県の18市町村すべてが,それぞれいくつもの品目をもっており,登録数は全県で300にもなる。大分県は,これらの成果をもって,全国各地で開かれるもよおしなどに「一村一品の大分」として参加,大分の産物を広めている。