●府名の由来
地形からきた名ともいわれるが,はっきりしない。江戸時代までは,小坂または大坂と書いた。明治になって,坂が阪にあらためられ,大阪となった。
●府庁所在地 大阪市
●府の面積 1898km2
●府の人口 887万人
●府の代表的な伝統工芸品と祭り
〔伝統工芸〕 ○大阪欄間 ○大阪唐木指物 ○大阪仏壇 ○堺打刃物 ○大阪浪華錫器
〔祭り〕 天神祭り(大阪市,7月24〜25日) ○四天王寺聖霊会(大阪市,4月22日)
●位置・地形・気候
大阪府は近畿地方のほぼ中央部に位置し,大阪湾に面している。面積は香川県についでせまいが,人口は東京についで多い。
北に北摂山地,東に金剛・生駒山地,南に和泉山脈があり,それらの山地に三方を囲まれて大阪平野が広がる。琵琶湖から流れ出た淀川と,生駒山地と金剛山地の間から流れ出た大和川が,大阪平野を流れ,大阪湾にそそいでいる。
気候は,瀬戸内の気候で,温暖で雨が少ない。日照りがつづくことも多く,早くからため池などのかんがい設備が発達した。
●歴史
むかしの摂津国の東部と,河内国・和泉国にあたる。古くから交通の要地としてさかえ,古代には,何回か都がおかれたこともある。
室町時代から戦国時代にかけて,堺が明との貿易でさかえ,大阪は石山本願寺の門前町として発展した。石山本願寺が織田信長*にやぶれ,焼失したあとに,豊臣秀吉が大阪城をきずいて以後,大阪は城下町として大きく発展,商業もさかんになった。
江戸時代には,大阪・堺は幕府直轄領となり,ほかに高槻藩など6藩がおかれた。淀川などの水運が発達し,大阪は,幕府や諸大名の蔵屋敷がおかれて,全国各地の米や物産が集まり,「天下の台所」といわれる大商業都市となった。
明治になって大阪府と堺県が成立,1881(明治14)年に統合され,いまの大阪府ができた。
●産業
農業のしめる割合は大きくはないが,南部の平地で近郊農業が行われ,全国有数のタマネギをはじめ,サトイモ・ナス・キャベツ・ネギなどのさまざまな野菜や花がつくられている。また,南部の山ろくではブドウやミカンの栽培がさかんである。
工業は,とくに大阪湾沿岸と淀川ぞいの内陸部に発達し,工業生産額は,愛知県,静岡県についで第3位(2009年),阪神工業地帯の中心となっている。大阪市・堺市の臨海部では機械・化学・鉄鋼,大阪湾岸の南部ではむかしから繊維工業がさかんである。また,内陸部では電気機器・金属製品・日用雑貨の工業が多い。大阪は日用雑貨品の一大産地である。
商業はたいへんさかんで,年間販売額は東京についで第2位である(2007年)。
■西日本の中心都市大阪
大阪市は多くの衛星都市をもつ西日本最大の都市である。鉄道や道路も大阪湾岸を中心に発達し,大阪は西日本の経済・文化・交通の中心地となっている。
大阪駅から南へまっすぐのびるイチョウ並木の大通りは御堂筋とよばれ,その両側には高層ビルがたちならんでいる。中之島一帯は官庁街で,隣接して,新聞社・放送局・銀行・企業などの高層ビルが集まるビジネス街が広がる。また,心斎橋筋は,東京の銀座にあたる都心部の繁華街である。
ビジネス街につづく,船場・本町一帯は古くからの繊維問屋街で,周辺には,製薬会社や薬問屋,はきもの問屋・家具問屋・電気機器などの問屋街が集まっている。しかし,せまくて不便なため,高層ビル化や郊外への移転も進んでいる。
大阪の商業の特色は,東京にくらべて地位が低下してきているものの,このような卸売業が中心であることであり,商業の年間販売額の約84%を卸売業がしめている(2007年)。取り引きの範囲は全国におよぶが,とくに西日本全域の取り引きの中心となっている。