南極の春にあたる9〜10月ごろに成層圏のオゾン層のオゾン濃度がいちじるしく減少し,オゾンのうすい部分が穴(ホール)のあいたようになる状態。1982(昭和57)年に日本の南極観測隊が南極上空でのオゾンの減少を発見し,1985年にアメリカ合衆国の極軌道衛星ニンバス7号が,南極上空全域にわたってオゾンが減少し,まるで穴のあいたような状態になっていることを確認した。1980〜90年代にかけて,地球全域でオゾン層の破壊が進み,その原因のおもなものが,冷蔵庫やクーラーの冷媒,ヘアスプレーの噴射剤,電子部品の洗浄剤などに広く使われてきたフロンであることがあきらかになった。フロンは成層圏に達すると紫外線を受けて分解し,塩素を放出する。この塩素が触媒となってオゾンを破壊する。
コーチ
オゾン
層の
破壊が進むと,
紫外線がふえ,
皮膚ガンや
白内障の
増加,生物や農作物への
悪影響がおこるとされている。1996年
以降,フロン
類の
製造や使用が国際的に
制限されるようになったが,オゾン
層の
回復には時間がかかるとみられている。