*おとぎぞうし【お伽草子】 鎌倉(かまくら)時代末期から江戸(えど)時代初期(しょき)にかけて書かれた短編説話(たんぺんせつわ)。室町(むろまち)時代にとくに多く書かれ,町衆(まちしゅう)(新しくおこった商人・手工業者)たちに読まれた。なかでも『福富草子(ふくとみぞうし)』『文正草子(ぶんしょうそうし)』『一寸法師(いっすんぼうし)』『ものぐさ太郎(たろう)』などは,身分のひくい者でも才能(さいのう)や富(とみ)の力で大名や貴族(きぞく)にもなれるという夢(ゆめ)がえがかれており,力を得(え)てきた庶民(しょみん)の姿(すがた)がしめされている。◇その一部は今の「おとぎばなし」のもとになっている。