かつて,フランスのパリからトルコのイスタンブールまでを直通運転されていた国際寝台列車(イギリス・ロンドン発の便もあった)。1883年開通,1889年に船舶乗りかえだった一部を解消し直通運転開始。当時の所要時間は約68時間。ブダペスト経由,ベネチア経由など別の鉄道会社ごとの3系統の路線があり,まとめてオリエント急行とよんでいる。豪華な客室と一流の料理を提供する食堂車,ゆきとどいたサービスなど,「走るホテル」といわれた列車はいくつもの小説や映画の舞台にもなった。1930年代をピークとして,その後は飛行機・自動車の普及の時代の波におされ,1977年,直通運転廃止。83年にブダペスト,ベネチアまでの路線が復活し,イスタンブール行きのイベント列車の運行もされるようになったが,2001年にパリ〜ウィーン間,2007年にはストラスブール〜ウィーン間に路線は縮小され,2009年12月,全線が廃止された。