冬の南東の空に見える星座。オリオン座の三つ星の,午後8時における見え方をたどると,12月上旬に東から三つ星を縦にしてのぼってくる。1月,2月になると,三つ星はほぼ横にならんで南の中空にかかり,5月初めに西へ消える。有名な三つ星はともに2等星,それをはさんで東に赤い変光星(極大等級0.5等)のベテルギウス(α星),西に青白い0.1等のリゲル(β星)があり,三つ星の先方やや北よりに1.6等のベラトリックス(γ星)がある。また,双眼鏡でたいへん美しく見えるオリオン大星雲(M42)がある。◇日本では,オリオン座を和楽器の鼓に見立てて「鼓星」とよぶ地方があった。また,ベテルギウスを「平家星」,リゲルを「源氏星」とよび,源平合戦に見立てて親しんできた地方もあった。
〔星座の探し方〕
12月
中旬の0
時ごろ,1月
中旬の22
時ごろ,2月
中旬の20
時ごろに,
真南の
空高くに
見える。
中央でななめにならぶ3
個の
星と2
個の1
等星が
目立つので,
明るい
都会の
夜空でも
比較的見つけやすい。
〔星座に関する神話〕
オリオン
座は,
狩りの
名人であるオリオンが,
右手でこん
棒をふりかざし,
左手にライオンの
毛皮を
持った
姿を
表しているとされる。さそり
座とオリオン
座の
関係を
伝える
神話はよく
知られているが,
別の
神話もある。オリオンは
月と
狩りの
女神アルテミスに
愛されていたが,アルテミスの
兄である
太陽神アポロンはそれが
気に
入らなかった。ある
日,オリオンが
頭だけを
出して
海中を
歩いているのを
見つけ,
金色の
光を
浴びせておいた。そこで
妹のアルテミスに「いくら
弓の
名手のおまえでも,あの
光っているものを
射当てられまい」とけしかけた。アルテミスは「
見ていなさい」と
言うや,
見事に
光るものを
射ぬいてしまった。
浜辺に
打ち
上げられた
光るものの
正体を
見ると,それは
愛するオリオンだった。
深く
悲しんだアルテミスは,
大神ゼウスにオリオンを
星座にしてくれるように
頼み,
冬の
夜にはオリオン
座のすぐ
近くを
明るい
月が
通り
過ぎていくということである。