*かきのもとのひとまろ【柿本人麻呂】 (生没年不詳(せいぼつねんふしょう))『万葉集(まんようしゅう)』第1の歌人。天武(てんむ)・持統(じとう)・文武(もんむ)朝(673〜707年)のころ宮廷(きゅうてい)に仕え,皇族(こうぞく)の死を悲しんだ挽歌(ばんか)や,天皇(てんのう)の外出につきしたがってよんだ歌が多く,雄大(ゆうだい)で重々しく,力強さにあふれている。そのうたいぶりは後の人々に「歌聖(かせい)」とあおがれた。晩年(ばんねん)は石見(いわみ)国(島根(しまね)県)の地方官(かん)としてくらし,不遇(ふぐう)のうちに,そこでなくなったとされている。『万葉集』に長歌(5・7・7‥‥5・7・7の形をもつ和歌)・短歌あわせて約(やく)80首がおさめられている。◇「東(ひんがし)の野にかぎろひ(い)の立つ見えて かへ(え)り見すれば月かたぶきぬ」