平安時代の末から鎌倉時代にかけておこった新しい仏教。
新仏教誕生の背景
この当時,戦乱と平氏の滅亡,天災やききんも多く,人々は社会不安の中で心のよりどころをもとめた。しかし,それまでの仏教(旧仏教)は貴族を対象として,教えがむずかしく,武士や庶民の心のよりどころとはならなかった。こうした人々の要求にこたえて鎌倉仏教は誕生し,わかりやすく,信仰しやすい教えは公家や武士・庶民の支持を受けた。
他力本願と自力本願
鎌倉仏教は,大きくわけると,2つの系統にわかれる。
(1)他力本願…仏の力にすがってすくいをもとめる仏教。浄土教を発展させ「南無阿弥陀仏」の念仏をとなえる念仏宗(法然の開いた浄土宗,親鸞の浄土真宗,一遍の時宗)と,「南無妙法蓮華経」と題目をとなえる日蓮の開いた日蓮(法華)宗とがある。
(2)自力本願…座禅によって自分の力で悟りを開く仏教(禅宗)。宋(中国)からつたえられ,栄西が開いた臨済宗と道元による曹洞宗があり,武士のあいだに広まる。
コーチ
新仏教の動きにうながされ,旧仏教の側にも反省が生まれ,叡尊や忍性のように,戒律の復興や貧民救済の社会事業を行ったりした。