かんじんちょう【勧進帳】 歌舞伎(かぶき)および長唄(ながうた)の題名。(1)歌舞伎(かぶき)『勧進帳(かんじんちょう)』は,能(のう)の『安宅(あたか)』をもとにしたもので,歌舞伎十八番(かぶきじゅうはちばん)の1つ。源頼朝(みなもとのよりとも)に追われた義経(よしつね)と弁慶(べんけい)の一行が,奥州(おうしゅう)へくだるとちゅう,関所(せきしょ)でつかまりそうになるが,弁慶(べんけい)の機転(きてん)でぶじのがれるという筋(すじ)。3世並木五瓶(なみきごへい)が台本を書き,4世杵屋六三郎(きねやろくさぶろう)が曲をつけたもの。つくられたのは1840(天保(てんぽう)11)年で,7世市川団十郎(いちかわだんじゅうろう)によって江戸(えど)で初演(しょえん)されている。(2)長唄(ながうた)の『勧進帳(かんじんちょう)』は,歌舞伎(かぶき)の音楽的(おんがくてき)部分だけをつなぎあわせたもので,三味線(しゃみせん)音楽の中では傑作(けっさく)として人気が高い。