外から力の作用を受けないかぎり,物体はそのときの運動の状態(静止をふくめた)をつづけようとする性質がある。この性質を慣性という。
慣性の見られる現象
電車が急に動きだすと,体が後方にたおれそうになる。体が静止の状態をつづけようとしているのに,足だけが電車の床とともに前へ進むからである。電車が急に止まるときは,体が前方にたおれそうになる。この場合は,体が等速直線運動をつづけようとするからである。また,石を2本の糸でしばり,1本の糸でつるしておく。下の糸を急に引くと,慣性によって石は急に動くことができず,下の糸が切れる。下の糸をゆっくりと引くと下の糸の張力と石の重力とが上の糸にかかり,上の糸が切れる。
ガリレイの思考実験
ガリレイは,一方の斜面の上端から球をすべらせると,これにつながっているほかの斜面の同じ高さまで上がるはずだと考えた。一方の斜面の角度をゆるやかにしても同じ高さまで達するので,角度をゆるやかにしていき,ついに斜面の角度が0,すなわち水平にすると球は最下点の速さでどこまでも運動をつづけるであろうと結論した。
コーチ
質量の大きいものほど物体の慣性は大きい。