きえんれい【棄捐令】 江戸(えど)時代,幕府(ばくふ)が旗本(はたもと)や御家人(ごけにん)の生活難(なん)をすくうために出した借金(しゃっきん)の帳消し令(れい)。最初(さいしょ)は1789年,寛政(かんせい)の改革(かいかく)で老中松平定信(ろうじゅうまつだいらさだのぶ)が発令(はつれい)した。定信(さだのぶ)は旗本(はたもと)・御家人(ごけにん)が札差(ふださし)(旗本(はたもと)・御家人(ごけにん)の蔵米(くらまい)の販売(はんばい)を代行した商人)に借(か)りている借金(しゃっきん)のうち,5年以前(いぜん)のものは棒(ぼう)引き,5年以内(いない)のものは利子(りし)を下げて返す法令(ほうれい)を出した。1843年には水野忠邦(みずのただくに)が出したが,以後(いご),札差(ふださし)が貸(か)し出しを制限(せいげん)したので,旗本(はたもと)らの生活はかえって苦しくなった。