きしん【寄進】 有力者や寺社に金品や土地などを寄付(きふ)すること。とくに平安時代,日本各地(かくち)で土地の開発が進み,その土地を有力な貴族(きぞく)や寺社に寄進(きしん)し,政治的(せいじてき)な保護(ほご)を受けた。これが荘園成立(しょうえんせいりつ)の1つの原因(げんいん)。しかし,荘園(しょうえん)の寄進(きしん)は名目上のことで,実際(じっさい)の耕作(こうさく)はその土地の開発者の手にゆだねられていた。一度荘園(しょうえん)になると,地方の産物(さんぶつ)を中央に届(とど)けたり,直接(ちょくせつ)中央に上って貴族(きぞく)に奉公(ほうこう)することなどが必要(ひつよう)だが,国司(こくし)に税(ぜい)を納(おさ)める必要(ひつよう)がなく,所領争(しょりょうあらそ)いなどで有利(ゆうり)な立場に立つことができた。