1年を天候の移り変わりによって区分したもの。温帯地方では,春・夏・秋・冬の四季の区別が明らかで,季節といえば四季をさすのがふつうである。
コーチ
熱帯地方では年間の気温の
変化がほとんどないので,雨の
季節配分によって,
雨季と
乾季とに区分することもある。
天文季節
地球から見た太陽の年周運動の道筋(黄道)上の特定点を太陽が通過する日付を季節の境目とするもので,特定点としては春分点(3月21日ごろ),立夏(5月6日ごろ),夏至点(6月22日ごろ),立秋(8月7日ごろ),秋分点(9月23日ごろ),立冬(11月7日ごろ),冬至点(12月22日ごろ),立春(2月4日ごろ)が用いられる。天文季節の四季の区分は東洋と西洋で異なり,日本や中国では,春が立春から立夏前日まで,夏が立夏から立秋前日まで,秋が立秋から立冬前日まで,冬が立冬から立春前日までである。これに対してヨーロッパでは,春は春分から夏至,夏は夏至から秋分,秋は秋分から冬至,冬は冬至から春分までである。西洋の天文季節は気温の季節変化に対応しているが,東洋では昼間の長さあるいは光の強さに対応した光の季節変化といえる。中国では西暦紀元前から天文季節の四季を細分した二十四節気七十二候が季節暦として使われていた。
自然季節
似かよった天候の移り変わりにもとづき,また植物や動物の生活にしたがって区分した季節である。気温や天気の移り変わりは,体験で容易に理解できるように,かなり明りょうに不連続的におこる。これは気団の交替と対応する。また,西高東低型や梅雨型などに分類される天気図型の移り変わりにも,このような季節による変化が見られる。自然季節には地域的な差がある。
季節の原因
季節の変化がおこる最大の原因は,地球の自転軸(地軸)が公転面(黄道面)に対して垂直でなく,垂線に対して23.4度(公転面となす角は66.6度)かたむいているためである。この結果,太陽高度や昼の長さが変化し,地表面が受ける太陽エネルギーの量が増減するため,気温などが変化して季節の変化となってあらわれる。一般に地表面と太陽光線のなす角,すなわち太陽高度が90度に近いほど地表面の受け取る太陽エネルギーの量が大きく,昼の長さが長いほど地表面が太陽エネルギーを受けている時間(日照時間)が長い。北半球では,春分から秋分までは太陽の南中高度(真南にきたときの太陽高度)が高く,昼の長さ(日照時間)が長いので,地表面が受ける太陽エネルギーの量が多い。夏至のときには南中高度や昼の長さ(日照時間)が最も大きくなる。秋分から春分までは南中高度が低く,昼の長さ(日照時間)が短いので,地表面が受ける太陽エネルギーが少ない。冬至のときには南中高度や昼の長さ(日照時間)が最も小さくなる。春分・秋分には南中高度が夏至と冬至の中間になり,昼の長さ(日照時間)と夜の長さがほぼ等しくなる。しかし,大気は太陽の光によって直接あたためられるのではなく,地表面からの熱によってあたためられるので,気温の変化は南中高度や昼の長さ(日照時間)の変化よりも1〜2か月おくれ,最も暑い時期や寒い時期は夏至や冬至ではなく,立秋や立春のころにずれることになる。
コーチ
四季の変化がおこるのは太陽までの距離がかわるためではない。