中生代三畳紀から白亜紀までの約1億8000万年間陸上でさかえた,絶滅は虫類。全長50m以上におよぶ大型のものから全長60cmほどの小型の種類までいた。
命名と分類
最初に記録された恐竜の骨は,イングランド南部で発掘された大型肉食恐竜メガロサウルスと,大型草食恐竜イグアノドンのものであった。前者は1824年に,後者は1825年に学界に発表された。それらが現生のは虫類とはまったく異なる絶滅したは虫類であることを理解したイギリスの古生物学者リチャード=オーウェンが,1842年に「Dinosaurs(恐ろしいトカゲ)」と命名した。これを日本では「恐竜」と訳している。その後多数の恐竜の化石が発見され,イギリスの解剖学者ハリー=シーリーが,1887年に恐竜は骨盤の形から竜盤目と鳥盤目の2つのタイプに分かれると指摘した。
コーチ
竜盤目は,トカゲの骨盤のように骨盤の下部の骨が上部の骨に対してある角度をなし,鳥盤目は,鳥の骨盤のように骨盤の下部の骨が上部の骨に対して平行である。
恐竜の種類
竜盤目には,オルニトミムス(ダチョウ恐竜)やティラノサウルス(暴君トカゲ)に代表される2足歩行・肉食性の獣脚類,さらにアパトサウルス(ブロントサウルス)やブラキオサウルスに代表される植物食性で大型化した竜脚類などがいた。鳥盤目には,鳥脚類・剣竜類・ヨロイ竜類・角竜類・堅頭竜類などがふくまれ,すべて植物食性で,鳥脚類だけが2足歩行ときに4足歩行で,ほかは4足歩行であった。鳥脚類には,ヒプシロフォドン・イグアノドン・マイアサウラなどがいて,その多くは群れで行動していた。剣竜類には,ステゴサウルス・ケントロサウルスなどがいて,背中に大きな骨板をもっていた。ヨロイ竜類には,アンキロサウルス・ノドサウルスなどがいて,体の表面が装甲板でおおわれていた。角竜類には,トリケラトプス・スティラコサウルスなどがいて,頭部に角をもち,首の部分にえり飾りをつけていた。
恐竜恒温説
長い間,恐竜は現存のは虫類と似ているところから変温(冷血)動物と考えられていたが,ある種の恐竜は恒温(温血)動物だったかもしれないという説もある。その根拠としては,
(1)恐竜の骨の中にあるハバース管(血管の跡)の構造,
(2)肉食性恐竜と植物食性恐竜との個体数の割合,
(3)足の骨格から推定される運動能力などがあげられている。
恐竜の感覚
恐竜の目はよく発達し,遠くや近くを見たり,物を立体的に見る両眼視をもつものもいた。聴覚も発達していた。鳥脚類のコリトサウルスの化石の耳のあたりから,音を聞く働きをする小骨も発見されている。声帯の発達と関係がある舌骨も多数発見されていることから,声を出すこともできた。嗅覚(臭覚)もよく発達し,えさや敵,なかまのにおいをかぎ分けるのに重要であった。
恐竜の子育て
1923年,アメリカの中央アジア探索隊が,モンゴル高原で角竜類の祖先にあたるプロトケラトプスの卵と巣を発見し,これによって恐竜が鳥類のように卵をうむことが判明した。1978年カナダのモンタナ州では鳥脚類のマイアサウラの営巣地の跡が発見された。マイアサウラは,毎年同じ場所に群れでもどり,何百,何千という巣をつくり,母親が生まれた子を成長するまで育てたと考えられている。竜脚類のアパトサウルスの群れの足跡化石からは,子をまもるように成体の恐竜が包囲して移動していたことがわかっている。
コーチ
恐竜の卵で大きいものは長さ43cm,はば14.5cmもある。
絶滅のなぞ
白亜紀末期には,恐竜ばかりでなく,翼竜や海のは虫類,アンモナイト類も絶滅した。その原因として有力なのは次の説である。
白亜紀末期に大いん石または小惑星が落下し,物理的・生態的に大打撃をあたえた。これは6500万年前の地層からいん石衝突の証拠であるイリジウムが世界各地で発見されていること,地質時代を通して大絶滅が数回周期的におこっていることの統計的発見などを根拠にしたものである。