位置とあゆみ
近畿地方は本州が最もくびれたところにあり,大阪・京都の2府と兵庫・滋賀・三重・奈良・和歌山の5県に区分される。近畿地方は古代から日本の政治・文化の中心であった。奈良や京都には都がおかれ,大阪は江戸時代には「天下の台所」といわれた商業都市としてさかえた。明治時代以降には,大阪・神戸などを中心に工業が発達して,一大工業地帯が形成されている。
自然のようす
(1)地形…日本最大の湖琵琶湖から大阪平野にかけての地域を中央低地といい,平野や盆地が多い。その北側はなだらかな丹波高地,南はけわしい紀伊山地となっている。紀伊半島の東部(とくに志摩半島)や若狭湾沿岸では発達したリアス海岸が見られる。
(2)気候…地形の影響で,日本海側の日本海岸式気候,大阪湾沿岸の瀬戸内式気候,太平洋側の太平洋岸式気候に分けられ,盆地では内陸性気候が見られる。なお,紀伊半島南東部は日本の最多雨地である。
産業のようす
(1)農林漁業…大阪・京都市周辺は近郊農業の先進地域である。多種類少量生産を特色とし,施設を利用した促成栽培もさかんである。しかし,近年は都市化の進展によって後退している。吉野・熊野地方は日本有数の林業地で,私有林が多く,スギなどを生産しているが,近年は安い輸入材におされている。有田川や紀ノ川下流域ではミカン栽培,志摩半島では真珠養殖がさかんである。
(2)工業…大阪市・尼崎市・神戸市の臨海部を中心に,南は大阪湾ぞいに和歌山市,西は姫路・相生市,さらに東は淀川ぞいに大津市にいたる広い地域に工業地帯が発達している。阪神工業地帯である。繊維,雑貨などの軽工業から発達し,現在は日本第2の総合工業地帯となっている(2009年)。堺泉北臨海地区,播磨灘沿岸などでは重化学工業が,泉南地区では繊維工業が,内陸部には電気機器,食品などの工業が発達している。
奈良・京都と大阪
奈良・京都市とその周辺には,古い歴史を物語る文化遺産が多い。伝統的な町並みが保存されている地区もある。西陣織・清水焼などの伝統的工業もさかんである。大阪は古い商業都市で,卸売業の多いことが特色である。大阪を中心に大阪大都市圏が形成され,西日本の中心となっている。
コーチ
1994年開業の関西国際空港は,新しい西の玄関口としての役割をになっている。また,空港建設に合わせて,大阪湾一帯の開発が進められている。