和歌山県にある熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社の熊野三山への参詣道の総称。熊野街道ともいう。古来,熊野詣のために開かれた道で,熊野三山へ和歌山から向かう紀伊路,伊勢から向かう伊勢路,高野山からの小辺路,田辺からの中辺路,田辺から串本を経る大辺路,吉野から前鬼を経る大峯奥駈道などが知られている。古い歴史をもつ石畳や紀伊藩のもうけた一里塚,参詣道の途中の熊野権現(若王子)をまつった「王子」とよばれる場所が今も残されている。ただし付近は昔から交通の難所で,道を敷く場所がかぎられていたため,いくつかの箇所では古道は現在の国道や市街地に吸収されてしまっている。◇2004年,「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界文化遺産に登録されたが,紀伊路が除外されているほか,すべての「熊野古道」が対象となっているわけではない。