県名の由来
1600年ごろ加藤清正が城をきずいたとき,隈本を熊本にあらためたといわれる。城下町熊本が,明治になって県庁所在地熊本市となり,熊本藩が熊本県となった。
県庁所在地
県の面積
県の人口
県の代表的な伝統工芸品と祭り
〔伝統工芸品〕
○指定なし
〔祭り〕
○八代妙見祭(八代市,11月22〜23日)
位置・地形・気候
熊本県は九州地方のほぼ中央にある。北,東,南の三方を山地にかこまれ,西は有明海と八代海に面している。北東部にある阿蘇山は世界一のカルデラをもつ二重式の活火山で,カルデラの大きさは南北約24km,東西約18kmもある。そのなかには3つの市町村があり,多くの人々が農牧業に従事している。
九州山地からは菊池川・緑川・白川・球磨川が西へ流れ,下流に熊本平野や八代平野をつくっている。球磨川の上流には人吉盆地がある。また,宇土半島から南西に160あまりの島々からなる天草諸島がつづく。
気候は,一般に温暖だが,内陸部は寒暑の差が大きく,夏は日本でも有数の高温地域になる。天草諸島にはソテツなどの亜熱帯植物も見られる。
歴史
昔は肥後国といった。1603年の関ヶ原の戦いのあと,加藤清正が熊本城をきずき,城下町を整備,発展の基礎をつくった。その後,熊本は細川氏の藩となり,江戸時代を通じてさかえ,熊本もその中心として発展した。
明治になって,熊本藩を中心に熊本県ができ,福岡県とならんで,国の出先機関などの多い県として発展してきた。
産業
熊本県の産業別人口を見ると,第1次産業人口の割合は,九州地方では宮崎県,鹿児島県についで大きく,約10%をしめる。そのほとんどが農業人口である(2010年)。
農業は,熊本平野や八代平野を中心にさかんで,熊本県の農業生産額は全国で第7位である。稲作のほか,野菜や花の栽培がさかんで,トマト・ナス・メロン・イチゴ・スイカなどは,どれも全国1〜3位の生産量をあげている。このほか,ミカンの生産も多い。八代平野は畳表の原料のイグサの主産地で,熊本県のイグサ生産量は全国の約98%をしめている(メロン2009年,ほか2010年)。また,阿蘇地方では,肉用牛の飼育や酪農がさかんで,全国的な畜産地となっている。牛は,夏の間は草地に放牧され,冬は畜舎で育てられる。
工業は,ICなどの電子工業のほか,オートバイなどの輸送機械工業もさかんで,熊本県の工業生産額は,九州では,福岡県,大分県についで第3位(2009年)である。
シリコンアイランドの中心熊本県
1967(昭和42)年に,熊本市の郊外に最初のIC工場がつくられて以来,熊本県には次々にIC関連の工場が進出し,一大中心地となっていった。
IC工場には,きれいな空気と水,広い工場用地,豊富な労働力が必要である。また,ICは小さくて軽いうえに高価で,東京などの大消費地とはなれていても,航空機などで大量に輸送することができる。熊本県は,このような工場を建てる条件をそなえていたため,IC産業が急速に発展した。
その後,同じような条件にめぐまれた九州各地にIC工場が進出するようになり,九州は,アメリカ合衆国の電子工業地域シリコンバレーにちなんで,シリコンアイランドとよばれるようになった。ICがうすいシリコン板の上に電子回路をつくったものであることからきたよび名である。
現在,熊本県には3つのIC一貫工場を中心に200近い関連工場が集中しており,九州のIC生産の中心となっている。ICのなかでも,とくに高性能のLSIやVLSIとよばれる製品の生産が多い。