小さな水滴や氷の粒(氷晶)の集団が大気中にうかんで見える現象。雲粒の大きさは雲の種類で異なり,また同じ雲の中でも場所によってちがうが,直径2〜40μm(マイクロメートル。1マイクロメートルは1000分の1mm)程度である。
雲の成因
雲は多くの場合上昇気流のある所にできる。大気はあたためられると上昇する。大気のかたまりは上昇するにしたがって,周囲の気圧が低くなるので膨張し,その温度が下がる。さらに上昇し温度が下がると露点に達し,大気中にふくまれている水蒸気の一部が大気中の小さなちりを核として小さな水滴や氷晶となり,上空にうかぶ。これが雲である。大気のかたまりがさらに上昇すると,のこりの水蒸気も水滴や氷晶にかわり,雲が成長していく。上昇気流は次のような場合に生じる。
(1)対流による上昇気流…地表面が局部的に強く熱せられると,大気の下層が不安定になって対流が発生し,上昇気流ができ,雲ができる。上昇気流のまわりにはかならず下降気流ができるので,雲には,すき間ができるのが特徴。
(2)前線による上昇気流…前線付近では,暖気の下に寒気がもぐりこみ,暖気を急上昇させたり,寒気の斜面を暖気がはい上がって上昇するため,広い範囲にわたって雲ができる。これを「前線性の雲」という。
(3)斜面による上昇気流…山などの斜面では,斜面にそって上昇気流が生じ,雲ができる。
(4)収束による上昇気流…低気圧の中心部のように,地表付近で周囲から気流が集まる所では上昇気流が生じ,広い範囲にわたって雲が生じる。
コーチ
高気圧の中心部のように下降気流があると,大気は圧縮されて温度が上がるため雲が消える。
雲の分類
国際的には雲の形を大きく10種類の基本的な形に分け,これを10類の雲形または10種雲形とよんでいる。すなわち,巻雲(略記号Ci),巻層雲(略記号Cs),巻積雲(略記号Cc),高層雲(略記号As),高積雲(略記号Ac),乱層雲(略記号Ns),層積雲(略記号Sc),層雲(略記号St),積雲(略記号Cu),積乱雲(略記号Cb)である。これを細分して14の種(形と構造による細分)と,別に9の変種(配列や厚さによる細分),9の副変種(部分的な特徴による細分)をもうけている。
雲の観測
雲形・雲量・雲高のほかに,雲の動き・雲の速さなどを観測する。大気のすんだ視界の広い場所をえらぶようにする。雲はそのときの大気の状態を表しているので,天気の変化を知るのによい手がかりとなる。「ひまわり」などの気象衛星による広範囲の雲の分布の観測も行われている。
コーチ
雲量は雲が空の何割をしめているかを目分量で0〜10まではかる。