*ぐんきもの【軍記物】 戦乱(せんらん)をテーマにした物語文学。軍記物語(ぐんきものがたり),戦記物語(せんきものがたり)ともいう。鎌倉(かまくら)・室町(むろまち)時代に多く書かれ,なかでも鎌倉(かまくら)時代成立(せいりつ)の『平家物語(へいけものがたり)』『保元物語(ほうげんものがたり)』,室町(むろまち)時代成立(せいりつ)の『太平記(たいへいき)』などが知られる。『源平盛衰記(げんぺいせいすいき)』は最大長編(さいだいちょうへん)である。語り物として発達(はったつ)したため,作者はいずれも明らかでない。後世の人々が筆をくわえ,おぎなっていったものだが,仏教(ぶっきょう)の無常観(むじょうかん)を背景(はいけい)に,和漢混交(こんこう)文(和文体の中に,漢文訓読(くんどく)体がまじった文体)で戦乱(せんらん)のようすや英雄(えいゆう)の活躍(かつやく)と死を,生き生きとえがいている。