＊＊げんこう【元寇】

モンゴル帝国を支配(しはい）した元(げん）のフビライ＝ハンは，高麗(コリョ）を征服(せいふく）したのち，日本をしたがえようとして使者を送ったが，執権(しっけん）北条時宗(ほうじょうときむね）はこれを拒否(きょひ）し，九州の防備(ぼうび）をかためた。

（1）文永(ぶんえい）の役(えき）…1274（文永11）年，元(げん）・高麗(コリョ）の連合軍(れんごうぐん）が対馬(つしま）・壱岐(いき）をおそったのち，博多湾(はかたわん）の沿岸(えんがん）に上陸(じょうりく）した。元軍(げんぐん）は火薬を使い，集団戦法(しゅうだんせんぽう）で日本軍(ぐん）を苦しめたが，日本の武士(ぶし）もよくたたかい，暴風(ぼうふう）によって元軍(げんぐん）は大打撃(だげき）をうけ，退却(たいきゃく）した。

（2）弘安(こうあん）の役…1281（弘安4）年，元軍(げんぐん）は新たに江南軍(こうなんぐん）（中国の南宋(なんそう）の軍(ぐん））もくわえ，朝鮮(ちょうせん）と中国本土の2方面から，ふたたび北九州へ攻(せ）めよせた。モンゴル・中国・朝鮮(ちょうせん）の兵士(へいし）からなる元軍(げんぐん）はまとまりがなく，日本軍(ぐん）は海岸に石がきをきずいて上陸(じょうりく）をふせぎ，元(げん）の船に乗りこんでたたかったりした。このときも暴風(ぼうふう）にあって多くの船がしずみ，元軍(げんぐん）は退却(たいきゃく）した。

コーチ

元(げん）は3回目の日本遠征(えんせい）を計画したが各地(かくち）で反抗(はんこう）などがおこり，実行できなかった。

幕府(ばくふ）は元寇(げんこう）をきっかけに，いままで力のおよばなかった地方の武士(ぶし）を戦(たたか）いに動員する権限(けんげん）をもち，全国的(ぜんこくてき）な支配(しはい）を確立(かくりつ）した。しかし，一方で多くの戦費(せんぴ）と，新たな元(げん）の襲来(しゅうらい）にそなえる費用(ひよう）のために，幕府(ばくふ）の財政(ざいせい）は苦しくなった。

コーチ

出陣(しゅつじん）した御家人(ごけにん）たちは多くの犠牲(ぎせい）をはらいながら十分な恩賞(おんしょう）がもらえず，経済的(けいざいてき）にも苦しくなり，幕府(ばくふ）に対する不満(ふまん）をつのらせていった。