原子炉を搭載し,その核反応熱で蒸気タービンを回して推進する航空母艦。1960年に進水したアメリカ海軍のエンタープライズが最初の原子力空母で,2009年現在,世界で運用されているのはアメリカのエンタープライズ1隻とニミッツ級10隻,フランス海軍のシャルル=ド=ゴール1隻の計12隻。移動できる兵器としては人類最大のものということができる(エンタープライズで全長336m,満載排水量9万3284t)。原子力で運航するため1度核燃料交換すると20年以上燃料補給の必要はなく(現在建造中の艦は半永久的に交換不要),航続距離や時間に制限なく活動できるのが最大の特長。90機前後の戦闘機を収納し,海上戦闘,航空戦闘,戦力の輸送などの活動を行うとともに,ミサイル巡洋艦,駆逐艦,原子力潜水艦などを従えた超大型空母の船団(空母打撃群という)は敵に対する最大の威嚇となる。アメリカ海軍では2008年の通常動力のキティホークの退役により大型空母はすべて原子力空母になる。◇2008(平成20)年9月,日本の横須賀港を事実上の母港としてアメリカ海軍の原子力空母ジョージ=ワシントンが配備されたが,原子炉事故,放射能もれなどについての不安の声もあがっている。