1945(昭和20)年8月の広島,長崎の原子爆弾投下によって被爆し,熱線や爆風による被害,放射線障害をこうむった人びとの症状・疾病。まず,被爆者とは原爆が投下されたときに広島・長崎の指定の地域にいて直接的に被爆した人,投下後2週間以内に救援などの目的で現地に入った人,死体の処理や被爆者の手当などに従事した人と,それぞれの人の胎児をさす。そして,そうした被爆者のうちで,熱線や爆風によるやけどや傷,急性放射線障害,何年もたってから発症した白血病や白内障などが,国の認定によってはじめて原爆症として認められる。被爆者,原爆症の認定は,被爆者援護法という法律によって定められているものなのである。原爆症に認定されると国から医療特別手当が支給されるが,認定基準がきわめてきびしく,被爆者の1%にもみたないほどである。この数年,原爆症の認定をもとめる人びとによる国への訴訟がつぎつぎと起こされ,原告を原爆症と認める勝訴の判決があいついだ結果,国は認定基準の見直しをはじめ,2009(平成21)年,まず,甲状腺障害,肝臓障害を原爆症のうちにふくめることを認めている。