鉱床から採掘される有用な成分,または有用な鉱物の集合体のうち,経済的に生産され,利益をあげうるもの。鉱石には有用な鉱物のほかに,役にたたない鉱物(脈石鉱物)や岩石片もふくまれている。
金属のとりだし
鉄や銅など多くの金属は自然界では純粋な単体の金属としては存在せず,わずかに金や銀の一部が単体として産出されるのみである。多くの金属は他の元素との化合物やイオンとして海水中に存在している。たとえば鉱石には鉄と酸素が化合した赤鉄鉱や磁鉄鉱,銅と硫黄が化合した黄銅鉱,銅と酸素の化合した赤銅鉱などがある。鉱石から目的の金属をとりだすには,たとえば酸素との化合物では,炭素などを用いて還元反応により酸素をとりのぞく。また,硫黄などの化合物では酸素を用いて酸化反応により硫黄をとりのぞいている。鉄の原料として代表的な赤鉄鉱は,2つの鉄原子と3つの酸素原子が結合した酸化物であるが,コークス,石灰石とともに溶鉱炉に入れ,コークスの燃焼ガスである一酸化炭素により鉄を還元し,二酸化炭素として酸素をとりのぞく。炉の底にのこっている酸素と切りはなされた鉄には,鉱石中にふくまれていた不純物があるので,石灰石によりこれもとりのぞく。そして,溶鉱炉からとりだされた鉄を転炉で炭素をとりのぞくと必要な性質をもつ鉄が得られる。