(1867〜1947)明治・大正・昭和時代の小説家。本名成行。江戸の下谷(今の東京都台東区内)に生まれる。経済上の理由で中学を中退し,17歳のときに逓信省電信修技学校に入り,2年後に電信技師として北海道におもむいたが,文学をこころざして帰京,1889(明治22)年『露団々』で文壇に登場した。ついで『一口剣』『五重塔』などを発表,東洋的・男性的な作風をもつ理想主義文学のにない手として,尾崎紅葉とならぶ大家といわれた。のち一時沈黙したが,大正時代に入って復活。晩年は史伝や芭蕉研究のかたわら,『幻談』『雪たたき』などの秀作を書いた。◇1937(昭和12)年に第1回文化勲章を受章。