わが国の国権の最高機関で,ただ1つの立法機関。二院制で衆議院と参議院からなる。両院の議員は,主権者である国民によってえらばれる。
国会の種類
次のようなものがある。
(1)常会(通常国会)…毎年1回,1月に召集。会期150日。
(2)臨時会(臨時国会)…内閣が必要とみとめたとき,または,どちらかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったとき。
(3)特別会(特別国会)…衆議院解散後の総選挙の日から30日以内に召集される。主要議題は,内閣総理大臣の指名である。
(4)緊急集会…衆議院の解散中,緊急の必要があるとき,国会の空転をふせぐために参議院で開く。
国会の仕事
国会のもつ重要な仕事は,国の基本的な意思を決めることであり,日本国憲法では,次のように規定している。
(1)法律の制定…法律案は国会議員によって発議され,または内閣によって提出される。その後,議長によって関係の委員会にまわされて審議されるが,重要な法律案の場合は公聴会が開かれる。さらに本会議で審議される。
(2)予算の議決…予算とは国の歳入・歳出の見積もりである。内閣が予算を作成して,はじめに衆議院に提出する(衆議院先議)。決算の承認も国会で行う。
(3)条約の承認…条約をむすぶのは内閣であるが,承認は国会が行う。
(4)内閣総理大臣の指名…国会は国会議員の中から内閣総理大臣を指名し,天皇によって任命される。
(5)内閣不信任の決議…内閣の信任や不信任を決議する権限で,衆議院だけにみとめられた権限である。
(6)憲法改正の発議…衆議院・参議院の各院において,総議員の3分の2以上の賛成があれば,憲法改正を発議できる。
(7)国政調査…国会が必要とする国政問題について,調査できる権限をいう。(1)立法に必要な資料の収集。(2)公務員の不当行為を調べる権限。(3)証人喚問などを行える。
(8)裁判官の弾劾…裁判官が,裁判官としてふさわしくない行いをしたとして訴追されたときは,国会内に弾劾裁判所をもうけて,裁判を行う。
委員会制度
国会の本会議に先だって,少数の議員によってつくられている委員会で審議が行われる。これは,本会議での時間不足をおぎない,また,専門化した政治の内容を,各議員が分担して深く審議するためである。委員会には,予算・財務・文教など常におかれている常任委員会と,必要に応じてもうけられる特別委員会がある。
定足数と表決
会議を開くのに必要な定足数は,本会議の場合は3分の1以上,委員会の場合は2分の1以上の出席が必要。表決は原則として多数決で過半数の賛成が必要である。ただし,憲法改正の発議のときは,各院において総議員の3分の2以上の賛成が必要。
会議の原則
会議は公開で行わなければならない(会議公開の原則)。そのほか一事不再議の原則,会期不継続の原則などがある。
コーチ
法律ができるまでについては,よく理解しておこう。これに関連して衆議院の優越(⇒衆議院),両院協議会,公聴会などの項目がある。また,国会議員には,さまざまな特権がみとめられていることも,あわせて理解しておこう。