(1923〜2010)昭和・平成時代の俳優。群馬県生まれ。大学在学中にアルバイトをしていた新聞社で映画評論家・映画記者などに接し,映画界にあこがれをもち,日活に研究生として入社。1942(昭和17)年にデビュー。第二次世界大戦をはさみ,当初は二枚目俳優として売り出したが,1951年に代役主演した『その人の名は言えない』で独自の演技を認められるようになる。以降,真面目でかたくな,平凡な一般庶民という役柄が定着し,森繁久彌の「社長シリーズ」(1956〜71年)では社長の秘書役として全作品に出演,その間,『裸の大将』(58年),『黒い画集』(60年),『白と黒』『江分利満氏の優雅な生活』(63年)などで各種映画賞を受賞する活躍を見せる。しかし60年代以降,40代になって役柄にめぐまれなくなる。1973(昭和48)年の『日本沈没』の田所博士役の鬼気迫る演技でふたたび注目を浴び,以降は,戦前の古いモラルを捨てられないがんこな中高年,時代劇の老武将・老人剣客,総理大臣・財界の大物といった重厚な役柄で独自の境地を開き,テレビドラマにも多く出演,晩年まで活躍を続けた。