●県名の由来
栄えの国,賢女などの伝説から佐嘉郡ができたという説,坂が佐嘉になったという説などがある。明治になって,佐賀に統一された。
●県庁所在地 佐賀市
●県の面積 2440km2
●県の人口 85万人
●県の代表的な伝統工芸品と祭り
〔伝統工芸〕 ○伊万里焼 ○有田焼 ○唐津焼
〔祭り〕 ○唐津おくんち(唐津市,11月2日〜4日)
●位置・地形・気候
佐賀県は,九州の北西部にある。肥前半島のつけ根にあたり,北は日本海の玄界灘,南は有明海に面している。北東から東に広がる脊振山地は1000m前後の山がつらなり,福岡県との県境をなしている。
北部には東松浦半島がつきだし,東に唐津湾,西に伊万里湾をひかえている。海岸は複雑なリアス海岸である。南部には,佐賀平野が広がる。筑後川が運んできた土砂が堆積してできた筑紫平野の佐賀県側が佐賀平野で,県の面積の約4分の1をしめる。平野の南部地域には,クリークとよばれる水田の用・排水のための水路網が発達している。また,有明海沿岸には,海面より土地の低い干拓地が開けていて,海岸付近には干拓の堤防の列がならんでいる。
気候は,対馬海流の影響によって,全体に温暖である。
●歴史
古くから開け,大陸の文化も早くからつたわった。近年,弥生時代後半の大規模な吉野ヶ里遺跡が発掘され,大きな話題となった。7世紀末以降,いまの長崎県とともに肥前国といった。東松浦半島は,遣隋使や遣唐使の出港地で,豊臣秀吉の朝鮮出兵のときにつくられた名護屋城跡ものこっている。
江戸時代になって佐賀藩が成立,藩主鍋島氏は西洋文化を積極的にとりいれ,江戸末期には文化の先進地となっていた。明治初期の廃藩置県で佐賀県・唐津県などの県ができ,のち統合されて佐賀県となった。
●産業
佐賀県の産業別人口の割合を見ると,第1次産業が9.4%をしめ,全国平均の4.2%にくらべてかなり高く,農業や水産業のさかんな県といえる。耕地の利用率は全国3位である(2010年)。佐賀平野での稲作と大麦・小麦の生産が中心であるが,施設を使った野菜や花の栽培,タマネギ・レンコン・ミカンの栽培もさかんである。
また,有明海ではノリの養殖がさかんで,全国有数の生産量をあげていたが,近年,水質の悪化で生産がおちこんでいる。
佐賀県の工業生産額はあまり多くないが,機械工業と食料品工業が中心である。有田焼などの陶磁器の出荷額は,工業製品出荷額の約4%をしめている。
■磁器のふるさと佐賀県
佐賀県はやきものの生産のさかんな県である。その中心は,県の西部にある有田町で,有田焼の産地として知られる。有田焼は,朝鮮出兵のときに朝鮮からつれてこられた陶工李参平が,1616年に,有田で質のよい陶石を発見して焼いたのが始まりとされる磁器である。磁器は生地が真っ白く透明なやきもので,それまで日本では,生地が不透明な陶器しか生産されていなかった。
17世紀の中ごろ,酒井田柿右衛門が,それまで青一色だった磁器に,青・黄・赤などの着色に成功して有田焼は大きく発展し,長崎のオランダ人や中国人を通じて輸出されて,ヨーロッパ諸国の陶磁器生産にも影響をあたえた。伊万里焼ともよばれるのは,製法の秘密をまもるため,有田からはなれた伊万里で取り引きされたためである。
現在,有田には約250のやきもの関係の工場があり,はたらく人の約半分が陶磁器産業とかかわっている。製品の中心は和・洋食器で,全国各地に出荷され,輸出もされている。また,毎年5月には陶器市が開かれ,全国から多くの人が集まる。