ダーウィンが創始した進化学説。自然淘汰説ともいう。1859年『種の起源』でこの説を提唱,1920〜30年代以降,遺伝学・生態学が発展,集団遺伝学が確立されてから進化学の基礎にすえられた。生物は一般に多産であるが,生れた子のうち生きのこって次代の子を生じるものは,環境によく適応した個体である。もし,環境に適応した変移が遺伝的なものであるなら,生物のそれぞれの種は,その適応の方向に変化していくことになる。このとき,環境への適応には,個体どうしの生存競争が重要な役割をする。これが自然選択説の基本的な考え方で,ダーウィンはいくつかの実例を上げてこれを説明した。もちろん,進化の要因はこれだけではない。