(1872〜1943)明治・大正・昭和時代の詩人・小説家。現在の岐阜県中津川市に生まれる。本名は春樹。生家は中山道馬籠宿の本陣・問屋・庄屋をかねる旧家。北村透谷らと雑誌『文学界』の同人として活躍し,1897(明治30)年,詩集『若菜集』で青春の叙情をうたい,わが国近代詩の扉を開いた。その後,詩集『夏草』『落梅集』をへて小説に転じ,1906年に最初の長編小説『破戒』を出して自然主義文学の第一歩をしるした。以後,日本の近代社会の底に流れるさまざまな問題を自伝的小説『春』『家』『新生』や大作『夜明け前』などにえがいた。ほかに『千曲川のスケッチ』などがある。◇生誕地岐阜県の旧馬籠本陣跡に,藤村記念館がある。