県名の由来:島根とは,高くなったところという意味で,『出雲国風土記』の時代から,島根半島東部は島根郡とよばれていた。この郡名が県名となった。
県庁所在地
県の面積
県の人口
県の代表的な伝統工芸品と祭り
〔伝統工芸〕
○出雲石灯ろう ○雲州そろばん ○石州和紙
〔祭り〕
○津和野鷺舞(津和野町,7月20・24・27日)
位置・地形・気候
島根県は,中国地方の北側中央部に位置し,日本海に面して細長く広がっている。
東北部には島根半島がつきだし,半島にだかれるように宍道湖と中海があり,日本海にそそぐ斐伊川と神戸川がつくった出雲平野と松江平野が広がる。南部は,中国山地をはさんで広島県と接し,北西部には石見高原,南西部には冠山山地があり,津和野などの小盆地が開けている。また,島根半島の北約45kmの海上に隠岐諸島がある。
県の面積の90%近くは山地で,平地はわずか10%程度しかない。気候は,冬に雪による降水量の多い,日本海側の気候であるが,暖流の対馬海流の影響を受けて,わりあいにあたたかである。とくに西部は雪が少なく,冬の降水量は多くない。
歴史
昔は東部を出雲国,西部を石見国,隠岐諸島を隠岐国といった。出雲は古くから開け,縄文時代や弥生時代の遺跡も多く,国つくりの神話の多い土地である。石見は銀山,隠岐は流刑の島として知られている。
鎌倉時代以降,佐々木氏や尼子氏,毛利氏などの支配を受け,江戸時代には,出雲に松江藩,石見に浜田藩と津和野藩がおかれた。明治の廃藩置県によって,出雲と隠岐が島根県となり,石見は浜田県となったが,1881(明治14)年に浜田県が島根県に編入され,現在の島根県が成立した。
産業
山地が多いため,耕地はあまり広くない。農業は,出雲平野の稲作,出雲市のブドウや安来市の日本ナシ(二十世紀)の生産などがおもなもので,中国山地では,質のよい肉用牛の飼育がさかんである。
水産業は,大きな漁港をもつ浜田市を中心に日本海でのアジ・サバ・イワシなどの水揚げが多い。島根県の漁獲量は全国9位である(2009年)。
工業は,安来市の鉄鋼業のほか,出雲市や松江市・浜田市などを中心に,食料品・電気機械などの工業がさかんである。
島根県は美しい自然にめぐまれ,国立公園や国定公園,自然公園などが数多くある。また神話や伝説に関係した土地や寺社も多く,多くの観光客がおとずれるので,観光業のしめる割合も大きい。
神話と伝説の地島根県
島根県には数多くの神話や伝説がのこされている。日本最古の書物『古事記』に書かれている神話も,この地方のものが多い。
高天原を追放されて出雲にやってきたスサノオノミコトが,頭が8つ,尾が8つある八岐の大蛇を退治した話や,スサノオノミコトの子孫のオオクニヌシノミコトが因幡の白ウサギを助けた話,オオクニヌシによる出雲の国づくりと,高天原のアマテラスオオミカミの子孫への国ゆずりの話など,出雲神話とよばれるものがそれである。八岐の大蛇の話は出雲神楽や石見神楽にものこされている。また,オオクニヌシノミコトをまつった出雲大社は,大社造りという古い建築様式をいまにのこしている。
島根県には,『古事記』と同時代につくられた全国の風土記のなかで,ただ1つ完全な形でのこされている『出雲国風土記』があり,このなかにも,出雲神話と共通する神々の物語などが書かれている。
流刑の島であった隠岐には,後鳥羽上皇・後醍醐天皇をはじめ,歴史上有名な人物が多く流されており,流人にまつわる伝説も多い。