しゃっこう【赤光】 斎藤茂吉(さいとうもきち)の第1歌集。1913(大正2)年刊(かん)。万葉調のしらべのなかに,生を肯定(こうてい)し,いとおしむ強烈(きょうれつ)な人間感情(かんじょう)をうたいあげ,歌壇(かだん)ばかりでなく,広く一般(いっぱん)の文芸(ぶんげい)界にも大きな反響(はんきょう)をよんだ。歌はいのちのあらわれでなければならないという作者の主張(しゅちょう)が一貫(いっかん)して流れ,連作(れんさく)「おひろ」「死にたまふ(う)母」の恋愛歌(れんあいか)・挽歌(ばんか)(人の死を悲しむ歌)はよく知られている。◇「しんしんと雪ふりし夜にその指の あな冷(つめ)たよと言ひ(い)て寄(よ)りしか」(「おひろ」),「みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる」(「死にたまふ(う)母」)。