604年,聖徳太子が定めた日本最初の成文法。憲法十七条ともいう。憲法とよばれているが,今日の憲法とはちがい,和の尊重や天皇への服従など,役人や豪族などがまもるべき心得を明らかにしたものである。
史料
十七条の憲法のおもな内容
一条
和を貴び,人にさからうことのないよう心がけよ。
二条
三宝をあつく敬え。三宝とは,仏像・経典・僧侶である。
三条
天皇の命令である詔を受けたなら,かならずつつしんでしたがうように。君主こそ天であり,臣は地である。
四条
官吏(役人)は礼を基本とし,人民を統治する基本は礼である。
五条
美食や財貨への欲求にもとづく賄賂を受けることなく,公明公正に訴訟をさばくこと。
七条
官吏は,各任務があるので,職務をあやまらないようにせよ。
八条
官吏は早く出勤して仕事をし,おそく退出せよ。
十二条
国司や国造は百姓(一般の人々)からかってに税をとってはならない。国に二人の君はありえず,人民に二人の主はないと心得よ。
十三条
官吏たちは,自分の職掌をよく承知せよ。
十五条
私心をさって公につくすことは,臣民の道である。
十七条
重大なことがらを決定するには,独断で決めてはならない。かならず人々とよく議論をつくすべきである。
(『日本書紀』)