しらぬい【不知火】 九州の有明(ありあけ)海によく見られる光学現象(げんしょう)。魚をとるために使う灯火(とうか)が複雑(ふくざつ)な屈折(くっせつ)をして,いろいろな形に見えたり,いくつにも分かれて見える。有明(ありあけ)海は遠浅(とおあさ)で,潮(しお)の満(み)ち干(ひ)の差(さ)が大きい。夏のころ,日中干潮(かんちょう)となると干潟(ひがた)は強い日射(にっしゃ)を受けてあたたまり,そこへ満(み)ちてきた海水は30℃くらいの高温となる。すずしい風がふいてくると下層(かそう)があたたかく,上層(じょうそう)がつめたいので小さな対流が生じ,沖(おき)の漁船(ぎょせん)の灯火(とうか)が異常屈折(いじょうくっせつ)されて,この現象(げんしょう)がおこる。