地表や水底にたい積してできた岩石。たい積しただけのものをたい積物,かたまったものをたい積岩といって区別する。たい積岩の特徴は,たい積物が生じた時代の生物の化石がふくまれていることである。
〔たい積岩の構成物質〕
たい
積岩をつくっている
物質は,地表にあった岩石が
侵食・風化されてできた,れき・
砂・
泥などの
砕せつ物,生物の
遺がいなどもともとはっきりした形をもった
粒と,それらの
粒の間のすき間をうめる
粘土鉱物や,けい
質・
石灰質・
鉄質などの化学
物質である。
〔たい積岩の種類〕
たい
積岩はおもな
構成物質にもとづいて
砕せつ
性たい
積岩と生物・
化学的たい
積岩に大きく分けられる。
砕せつ
性たい
積岩は
砕せつ物の大きさによってれき岩(
粒の大きさ2mm
以上)・
砂岩(2〜16分の1mm)・
泥岩(16分の1mm
以下)の3
種類に分けられる。
粒の大きさは,
砕せつ物をつくり,運んだ水・氷・風の力の大きさを
反映している。
砕せつ物となるのは
火成岩・たい
積岩・
変成岩と地表にでているさまざまな岩石である。生物・
化学的たい
積岩には生物の
遺がいや生物の活動によってできたもの,
水溶液から
環境条件の
変化によって
沈殿したものとがある。これらの岩石は
化学的に
純粋に近い
組成をもち,
造岩鉱物の
種類も
単純である。そのため,この
種のたい
積岩は化学
組成にもとづいて
区別される。
炭酸カルシウム(
方解石)からなる
石灰岩,
炭酸カルシウムと
炭酸マグネシウム(
苦灰石)からなるドロマイト,
二酸化ケイ
素(
石英)からなるチャートやけいそう土,鉄バクテリアの
働きでできた
鉄鉱層,鳥やコウモリなどの動物のふんからできたリン
鉱,植物の
遺がいからできた石炭,湖水や
潟の海水の
蒸発によってできた
岩塩・カリ
塩・石コウなどの
蒸発岩などがある。
コーチ
火山
灰・火山れき・火山
弾・
火山岩塊などがたい
積してかたまった
火砕岩(
凝灰岩や火山角れき岩など)もたい
積岩としてあつかうことがある。
〔たい積岩のでき方〕
地表の岩石は水・氷・風・生物の
働きによって,たえずけずられたり,くずされたり,とかされたりして,れき・
砂・
泥といった
砕せつ物になる。
砕せつ物は流水・
氷河によって
低いほうに運ばれ,風によって風下へと運ばれる。それらは運ぶ力の弱まった地表や
水底にたまってほぼ水平な広がりをもったたい
積物の
層(
地層)になる。たい
積物が
積みかさなると下にあるたい
積物はかたまってたい
積岩になる。生物・
化学的たい
積岩では生物のコロニーがそのまま岩石になることもあるし,
遺がいが水の
働きで
移動させられてたまることもある。水にとけていた化学
物質は温度など
環境の
変化にともなって
水溶液から
特定の
成分をもつ
固体(
鉱物)になる。湖水や海水の水分が
蒸発すると,水にとけていたナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・
塩素・
炭酸基・
硫酸基などの化学
物質がむすびついて
岩塩(
塩化ナトリウム)・カリ
岩塩(
塩化カリウム)・石コウ(水分をふくんだ
硫酸カルシウム)などが
結晶として
析出する。
コーチ
物質が上へ上へと
積みかさなり,しだいにかたまってかたい岩石になる
過程を
続成作用という。
〔たい積岩ができる環境〕
たい
積物がたまる場所は
陸上では
河川・
氷河・
砂漠・
湖沼・
海浜,
海底では三角
州・
大陸棚・
大陸斜面・
海溝・深海
底・海洋島とさまざまである。しかし,たい
積物の
種類はたい
積環境によってかぎられているので,たい
積岩は
過去のたい
積環境を
記録しているといえる。
大陸プレートの中ではしずかにたい
積した
砕せつ岩や
石灰岩の水平な
層が見られる。日本列島のような
島弧-
海溝系では,
大陸地域でできた
砕せつ岩と,海洋
域でできた
石灰岩やチャート,
海底火山
噴出物などが
変形して
巨大な
岩塊となってまじりあったもの(メランジュという)が見られる。これは
海溝で海洋プレートがしずみこむときに,海洋プレートの
表層部分がはぎとられて,
大陸プレートの
縁のたい
積物にくわわった
結果できたものであり,全体を
付加体という。