太陽およびその周囲にあって,太陽の引力の支配を受けている一群の天体をまとめて太陽系という。
〔太陽系の構成と規模〕
太陽
系の天体は太陽のほかに
惑星・
準惑星・
衛星・
小惑星・すい星があり,またこれらの天体が運動している空間には,流星
物質(ちり)や気体が
存在している。
惑星は太陽に近いほうから
順に,水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星・めい王星とされていたが,2006年に
国際天文学
連合がめい王星の
除外を決定した。太陽から太陽にいちばん近い水星までの
距離は5790万km,
最も遠い海王星までの
距離は45
億440万kmである。
衛星は
惑星の
周囲をまわっている天体で,
現在170
個以上が知られている。地球に1
個,火星に2
個のほか,2011年7月末
現在,木星に65
個,土星に65
個,天王星に27
個,海王星に13
個の
衛星が発見されている。
小惑星は8
惑星にくらべてひじょうに小さい天体で,
軌道が
確定したものが25万
個以上知られている。すい星は
尾を
特徴とする天体で,細長いだ円
軌道をもつ
周期すい星と,
双曲線・放物線
軌道をもつ
非周期すい星に分けられる。◇海王星の
軌道の外
側に太陽
系外縁天体とよばれる小天体が発見され,太陽
系の
領域も
従来より広がりつつある。
〔太陽系の位置と運動〕
太陽
系は,星の
大集団である
銀河系に
属しており,その中心から
約3万光年の
位置にある。
銀河系は全体として中心のまわりに回転しており,太陽
系も
付近の星とともに秒速
約220kmで動いており,1回転には2
億年
以上を
要する。
〔太陽系の成因〕
太陽
系がどのようにしてできたか,古くから天文学上の大きな問題であった。太陽
系の
成因が
科学的に
議論されはじめたのは18
世紀以降で,
以後今世紀の
初頭までは,
一般に高温
物質がひえて
惑星ができたとする,カント=ラプラスの星雲
説,チェンバリンやモルトンによる
微惑星説,ジーンズやジェフリーズによる
潮汐説,ラッセルやリットルトンによる
連星説が出された。その後,高温
物質がひえて
固体となることはできないことがわかり,
低温物質から
惑星ができたと考えられるようになった。この
説は原始太陽
系円盤の中で
微惑星ができ,それらが
惑星に
成長するという考えである。近年では,天文学上の
知識が,
飛躍的に
増大し,星の進化や
形成などについて
観測・
理論の両面から明らかになってきたので,太陽
系の
成因説も1つの方向にしぼられてきている。