*たやまかたい【田山花袋】 (1871〜1930)明治(めいじ)・大正時代の小説(しょうせつ)家。群馬(ぐんま)県に生まれる。困窮(こんきゅう)のなかで文学にこころざし,はじめ叙情的(じょじょうてき)・感傷的(かんしょうてき)な詩や小説(しょうせつ)を書いていたが,モーパッサンなどの影響(えいきょう)で現実(げんじつ)を見る目を深めた。1907(明治(めいじ)40)年の『蒲団(ふとん)』は,愛欲(あいよく)に苦しむ自己(じこ)のすがたをさらけだして,現実暴露(げんじつばくろ)・自己告白(じここくはく)という写実主義的(しゅぎてき)な私小説(わたくししょうせつ)の道を開き,自然主義(しぜんしゅぎ)運動の中心に立って活躍(かつやく)した。作品に『生(せい)』『妻(つま)』『田舎教師(いなかきょうし)』などの小説や,『近代の小説』『東京の三十年』などの評論(ひょうろん)や随筆(ずいひつ)がある。