周囲より気圧の低い所。天気図では「低」または「L」で表される。低気圧の中では,等圧線の間隔はせまく,北半球では風は左回り(反時計回り)に周囲から中心に向かってふきこんでいる。風も低気圧の中心に近づくほど強い。また,四方から風がふきこんでいるので,低気圧の中心付近では上昇気流ができて雲を生じ,雨のふっている所が多い。
〔低気圧の種類〕
低気圧には,
熱帯の海上で発生する
熱帯低気圧と,中
緯度に発生する
温帯低気圧とがある。
熱帯低気圧は強い
暴風雨をともなう
低気圧で,その中には日本にやってくる台風や,カリブ海・メキシコ
湾に発生するハリケーン,ベンガル
湾のサイクロンなどがある。ふつう
低気圧といえば
温帯低気圧をさす。
〔温帯低気圧の発生〕
大部分の
低気圧は,つめたい
乾燥した
気団と,あたたかいしめった
気団との
境めにできる。日本にやってくる
低気圧は,中国・東シナ海・シベリア
大陸で発生したものがほとんどである。
〔温帯低気圧の構造と天気〕
日本
付近にやってくる
低気圧は前線をともなうことが多い。北半球では,
寒冷前線は南西にのび,
温暖前線は南東にのびている。この2つの前線にはさまれた所は,
低気圧の中心をのぞけば天気がよく,あたたかい南よりの風がふいているが,その外
側ではつめたい風がふいている。
温暖前線の前方には広い
範囲にわたって雲が発生する。雲の
種類も
巻雲・
巻層雲・
高層雲・
乱層雲とならび,前線に近づくほど雲も
厚くなり,
乱層雲の所では雨がふっている。
温暖前線にともなってふる雨は,しとしとふる弱い雨であるが,長時間つづき,ふる
区域も広い
範囲におよんでいる。
温暖前線が
通過すると,風は南西または西にかわり気温が上がり,天気もよくなる。
寒冷前線
付近では
積乱雲が
発達する。それからふる雨は,しゅう雨
性で,
突風や
雷をともなうこともあるが,雨のふる
範囲はせまい。
寒冷前線が
通過すると,雨はやみ風は北または北西にかわり,気温も下がり,天気はよくなる。
〔低気圧の移動〕
日本
付近にやってくる
低気圧は,ほぼ西から東へ
移動し,
移動速度は毎時30〜50kmくらいである。
発達した
低気圧では,
温暖前線よりも
寒冷前線のほうが速く
移動するため,やがて
寒冷前線が
温暖前線に追いつき,
閉そく前線ができる。
コーチ
低気圧は,発生期・
発達期・
最盛期・
閉そく期・
消滅期をへて一生をおえる。