太平洋を取り囲む国々の間での,自由貿易や投資・知的財産権の保護など,幅広い分野でのルールをつくるための取り決め。“Trans-Pacific Partnership”の略称。日本語名は,環太平洋経済連携協定,環太平洋パートナーシップ。最初はシンガポール・ブルネイ・チリ・ニュージーランドの4か国でスタートしたが,2010年にアメリカ合衆国が参加したことで注目されるようになり,2013年には日本が参加した。TPPが結ばれた場合,工業製品・農産物などにかかる関税が廃止あるいは低く設定されるため,製品は安く輸出できるようになり,輸入品は安く手に入れることが可能になる。日本にとっては特に,主要な輸出品である自動車や電気製品を安く輸出できるようになるため,それらの輸出が増えるメリットがある。その一方で,外国からの安い輸入品が増えるため,日本国内の産業に影響を与えると予想される。特に農業では,安い農産物の輸入が増えることによって国内農家が価格競争に巻き込まれ,農業が衰退することが心配されている。2015年10月に大筋合意に達し,2016年2月に太平洋を取り囲む参加12か国が協定文に署名したが,2017年1月にアメリカが離脱を表明した。